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変形性股関節症の初期症状とは?痛む場所・原因・治療方法を解説

2026.10.26

「歩き始めると股関節が痛い」「足の付け根に違和感がある」「最近、靴下を履くときに股関節が動かしにくい」。このような症状がある場合、変形性股関節症が関係している可能性があります。

変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減るなどして、痛みや関節の動かしにくさが生じる病気です。初期には症状が軽く、疲れや年齢のせいだと思って見過ごされることもあります。

ただし、股関節が痛いからといって、必ずしも変形性股関節症とは限りません。腰の病気や筋肉・腱の問題など、ほかの原因によって似た症状が現れる場合もあります。

この記事では、変形性股関節症の初期症状や痛みが出やすい場所、原因、進行した場合の変化、検査・治療方法について、整形外科の視点からわかりやすく解説します。

変形性股関節症の初期症状

変形性股関節症とは?股関節に起こる変化

変形性股関節症とは、股関節の軟骨が傷んだり、骨の形が変化したりすることで、痛みや関節の動かしにくさが生じる病気です。股関節は、歩く・立つ・座るといった日常生活の動作を支える重要な関節であり、症状が進むと生活に影響することがあります。

股関節は骨盤と太ももの骨をつなぐ関節

股関節は、骨盤にあるお椀のようなくぼみ「寛骨臼(かんこつきゅう)」と、太ももの骨の先端にある丸い部分「大腿骨頭(だいたいこっとう)」が組み合わさってできています。

股関節の表面は滑らかな関節軟骨で覆われており、骨同士が直接こすれ合うのを防ぎながら、関節を滑らかに動かす役割を担っています。

また、股関節は体重を支える関節でもあります。立ち上がるときや歩くとき、階段を上り下りするときなど、日常のさまざまな場面で負荷がかかります。

軟骨の変化によって痛みや動かしにくさが生じる

変形性股関節症では、関節軟骨が傷んで薄くなり、関節の隙間が狭くなることがあります。さらに進行すると、骨の縁に骨棘(こつきょく)と呼ばれる突起ができたり、骨の形が変化したりする場合があります。

軟骨自体には痛みを感じる神経がありませんが、関節周囲の骨や滑膜などに変化や炎症が生じることで、痛みにつながると考えられています。

ただし、画像検査で変形が認められても、痛みがほとんどない方もいます。反対に、画像上の変化が軽くても症状が強い場合があるため、画像の所見だけでなく、実際の症状や生活への影響を合わせて評価することが大切です。

変形性股関節症は女性に多い傾向がある

日本では、変形性股関節症は女性に多くみられる傾向があります。その背景には、生まれつき、あるいは成長過程で股関節の受け皿が浅い「寛骨臼形成不全」などが関係している場合があります。

寛骨臼形成不全があると、股関節の一部に負荷が集中しやすくなり、長い年月をかけて軟骨に負担がかかることがあります。

ただし、変形性股関節症は女性だけに起こる病気ではありません。男性でも発症することがあり、加齢や股関節への負荷、過去のけがなど、さまざまな要因が関係します。

変形性股関節症の初期症状とは?

変形性股関節症の初期には、股関節の痛みや違和感が現れることがあります。特に、歩き始めや立ち上がるときなど、動作を開始する場面で症状を感じる方がいます。

ただし、症状の現れ方には個人差があり、初期から強い痛みが出るとは限りません。痛みが軽い場合でも、繰り返し起こるようであれば注意が必要です。

歩き始めや立ち上がるときに痛む

変形性股関節症でみられる症状の一つが、動き始めの痛みです。椅子から立ち上がるときや、しばらく座った後に歩き始めるときなどに、足の付け根に痛みを感じることがあります。

初期には、少し歩くと痛みが和らぐ場合もあります。そのため、単なる疲労や筋肉痛だと考えて、受診せずに過ごしてしまうこともあります。

しかし、動き始めの痛みが繰り返し現れる場合には、股関節に何らかの問題が生じている可能性があります。症状が続く場合は、原因を確認することが大切です。

足の付け根に違和感や重だるさがある

初期の変形性股関節症では、はっきりとした痛みではなく、足の付け根が重い、引っかかるような感じがする、股関節の奥に違和感があるといった症状が現れることもあります。

長時間歩いた後や、立ち仕事が続いた後に症状を感じる方もいます。また、股関節を大きく動かす動作で違和感が強くなる場合があります。

こうした症状は筋肉や腱の問題などでも起こるため、違和感だけで変形性股関節症と判断することはできません。

靴下を履く・爪を切る動作がしにくくなる

股関節の動く範囲が狭くなると、日常生活の動作に変化が現れることがあります。

例えば、靴下を履くときに足を引き寄せにくい、足の爪を切りにくい、床に座る姿勢がつらいといった変化です。

股関節の初期症状で確認したいポイント

  • ◼️歩き始めや立ち上がるときに足の付け根が痛む
  • ◼️長く歩いた後に股関節が重だるくなる
  • ◼️股関節の奥に引っかかるような違和感がある
  • ◼️靴下を履くときに足を動かしにくい
  • ◼️足の爪を切る姿勢が取りにくくなった
  • ◼️以前より股関節を動かせる範囲が狭く感じる

これらの症状があっても、必ず変形性股関節症というわけではありません。症状が続く場合には、整形外科で原因を確認しましょう。

初期症状があっても日常生活を送れることがある

変形性股関節症の初期には、痛みがあっても普段どおり歩けたり、仕事や家事を続けられたりすることがあります。そのため、症状が悪化するまで受診を先延ばしにしてしまう方もいます。

一方で、股関節の変化が必ず一定の速度で進行するわけではありません。症状が長期間あまり変わらない場合もあり、進行の程度には個人差があります。

痛みが軽い段階でも、原因を確認して生活習慣や股関節への負荷を見直すことは、今後の対策を考えるうえで役立ちます。

変形性股関節症ではどこが痛くなる?

変形性股関節症による痛みは、股関節の周囲に現れます。特に多いのは足の付け根の痛みですが、お尻や太もも、膝の周辺に痛みを感じる場合もあります。

股関節は身体の深い位置にある関節のため、痛みの場所がわかりにくいことがあります。また、実際には股関節に原因があっても、離れた場所に痛みを感じる「関連痛」が起こる場合があります。

足の付け根(鼠径部)の痛み

変形性股関節症で比較的よくみられるのが、足の付け根にあたる鼠径部(そけいぶ)の痛みです。

股関節は骨盤と太ももの骨をつなぐ関節であり、身体の前側では足の付け根の奥に位置しています。そのため、股関節に問題があると、鼠径部の深いところに痛みを感じることがあります。

特に、歩き始めや椅子から立ち上がるとき、階段を上るときなどに痛みが現れる場合があります。股関節を曲げたり、内側にひねったりする動作で痛みが強くなることもあります。

ただし、鼠径部の痛みには、筋肉や腱の問題、鼠径ヘルニアなど、股関節以外の原因も考えられます。痛む場所だけで病気を特定することはできません。

お尻や太ももの外側が痛むこともある

股関節の痛みは、足の付け根だけでなく、お尻や太ももの外側に現れることもあります。

例えば、長時間歩いた後にお尻の奥が痛くなる、股関節の外側が重だるくなるといった症状です。痛みをかばって歩くことで、股関節周囲の筋肉に負担がかかり、別の場所にも痛みが生じる場合があります。

一方、お尻の痛みは腰椎の病気などでも起こり、股関節の外側の痛みには中殿筋などの腱の障害が関係することもあります。

そのため、股関節だけでなく、腰や筋肉、神経の状態も含めて確認することが大切です。

膝が痛いのに股関節が原因の場合もある

股関節の病気によって、太ももから膝の周辺に痛みを感じることがあります。これは関連痛と呼ばれるもので、痛みを感じる場所と実際に問題が起きている場所が異なる現象です。

例えば、膝の痛みを訴えて受診した方でも、診察で股関節の動きが悪くなっていることがわかり、股関節の病気が見つかる場合があります。

もちろん、膝の痛みには変形性膝関節症など、膝自体の病気が関係していることもあります。

膝の痛みが続いている場合でも、股関節の動かしにくさや足の付け根の違和感があるときには、そのことを医師に伝えるとよいでしょう。

変形性股関節症の痛み

股関節の痛みと腰からくる痛みの違い

股関節の周囲に痛みがある場合、腰の病気との区別が必要になることがあります。腰椎の病気によって神経が刺激されると、お尻や太もも、足に痛みやしびれが現れる場合があるためです。

股関節の病気では、股関節を曲げたりひねったりする動作で痛みが出ることがあります。一方、腰の神経が関係する場合には、腰の姿勢によって症状が変化したり、脚にしびれが生じたりすることがあります。

ただし、これらの特徴だけで原因を区別できるわけではありません。股関節と腰の病気が同時に存在する場合もあります。

痛む場所だけで原因を決めつけないことが大切です足の付け根、お尻、太もも、膝などの痛みは、変形性股関節症以外の病気でも起こります。痛みが続く場合や歩行に支障が出ている場合には、整形外科で原因を確認しましょう。

変形性股関節症になる原因と発症しやすい人

変形性股関節症は、股関節の軟骨に負担がかかり、関節の構造が変化することで生じる病気です。ただし、原因は一つとは限りません。生まれつきの股関節の形、加齢、過去の病気やけがなど、さまざまな要因が関係します。

日本では、股関節の受け皿が浅い「寛骨臼形成不全」が背景にあるケースが知られています。一方で、明らかな股関節の形の異常がなくても発症する場合があります。

寛骨臼形成不全による股関節への負担

寛骨臼形成不全とは、骨盤側にある股関節の受け皿が浅く、大腿骨頭を十分に覆えていない状態です。

股関節の受け皿が浅いと、体重を支える際に関節の一部へ負荷が集中しやすくなります。その状態が長期間続くことで、軟骨が傷み、変形性股関節症につながる場合があります。

寛骨臼形成不全があっても、すべての方が変形性股関節症になるわけではありません。また、若い頃には症状がなく、中年期以降になって股関節の痛みが現れる場合もあります。

寛骨臼形成不全の有無や程度は、主にレントゲン検査などで評価します。

加齢に伴う関節の変化

年齢を重ねると、股関節の軟骨や周囲の組織に変化が生じることがあります。長年にわたって股関節に負荷がかかることも、変形性股関節症の発症に関係すると考えられています。

ただし、加齢だけで必ず変形性股関節症になるわけではありません。同じ年代でも、股関節の形や筋力、体重、活動量などによって関節の状態には違いがあります。

また、変形性股関節症は高齢者だけの病気ではなく、比較的若い年代で発症する場合もあります。

体重や股関節への負荷との関係

股関節は体重を支える関節のため、歩行や階段の上り下りなどでは繰り返し負荷がかかります。

体重が増えると股関節にかかる力が大きくなるため、体重管理は症状への対策を考えるうえで重要です。ただし、肥満だけが変形性股関節症の原因になるわけではなく、股関節の形やほかの要因も関係します。

また、仕事やスポーツなどで股関節に負荷がかかる動作を繰り返す場合には、症状が強くなることがあります。

一方で、股関節が痛いからといって、すべての運動を避ける必要があるわけではありません。関節への負荷と筋力維持のバランスを考え、身体の状態に合った活動を続けることが大切です。

過去の股関節の病気やけが

変形性股関節症には、過去の股関節の病気やけがが関係することもあります。

例えば、発育性股関節形成不全(乳児期の股関節脱臼などを含む病態)や、大腿骨頭壊死症、股関節周囲の骨折などによって関節の形や機能に変化が生じた場合、後に変形性股関節症につながることがあります。

こうした背景がある場合には、過去の治療歴や手術歴も診断の参考になります。

変形性股関節症になりやすい人の特徴

変形性股関節症の発症には複数の要因が関係するため、特定の条件に当てはまるだけで発症するとは限りません。ただし、以下のような方では、股関節の状態に注意が必要な場合があります。

  • ・寛骨臼形成不全を指摘されたことがある方
  • ・子どもの頃に股関節の脱臼などで治療を受けた方
  • ・過去に股関節の骨折や病気を経験した方
  • ・股関節に痛みや動かしにくさが続いている方
  • ・体重増加などによって股関節への負荷が大きくなっている方
  • ・中高年で股関節の痛みが現れるようになった方

これらはあくまで参考となる特徴です。症状がなくても股関節に形の異常がある場合や、特に思い当たる原因がなくても変形性股関節症が見つかる場合があります。

股関節の痛みが続く場合には、自己判断せず、診察や必要な画像検査によって状態を確認することが大切です。

変形性股関節症が進行するとどうなる?

変形性股関節症が進行すると、股関節の痛みが強くなったり、関節を動かせる範囲が狭くなったりする場合があります。初期には歩き始めなど特定の動作で痛みを感じることが多いものの、症状が進むと長時間の歩行や日常生活の動作にも支障が出ることがあります。

ただし、変形性股関節症は、すべての方が同じように進行する病気ではありません。画像検査で確認できる変形の程度と痛みの強さが必ずしも一致するわけではなく、症状の経過にも個人差があります。

歩行時の痛みが強くなる

変形性股関節症の初期には、立ち上がりや歩き始めに痛みを感じても、しばらく動くと症状が軽くなることがあります。しかし、症状が進むと、歩いている間にも痛みが続いたり、長い距離を歩くことが難しくなったりする場合があります。

例えば、以前は問題なく歩けていた距離でも途中で休憩が必要になる、買い物や散歩の後に股関節の痛みが強くなるといった変化がみられることがあります。

また、階段の上り下りや坂道の歩行など、股関節に負荷がかかる動作で痛みが目立つ場合もあります。

股関節の動く範囲が狭くなる

変形性股関節症では、関節の変形や周囲の組織の変化などによって、股関節の可動域が制限されることがあります。

特に、股関節を曲げる、開く、内側や外側にひねるといった動作がしにくくなる場合があります。

日常生活では、靴下を履く、足の爪を切る、浴槽をまたぐ、車に乗り降りするといった動作に不便を感じることがあります。

こうした動かしにくさは、痛みを避けて股関節を動かさない生活が続くことによって、さらに目立つ場合もあります。ただし、無理に関節を動かすと症状が悪化することもあるため、適切な運動方法を確認することが大切です。

歩き方が変化したり、足を引きずったりする

股関節の痛みが強くなると、痛む側の足に体重をかける時間を短くしようとして、歩き方が変化することがあります。

また、股関節周囲の筋力が低下した場合には、骨盤を安定させにくくなり、身体を左右に揺らすような歩き方になることもあります。

歩き方の変化が続くと、反対側の股関節や膝、腰などにも負担がかかる場合があります。

歩行時の痛みや足を引きずるような変化がみられる場合には、股関節の状態だけでなく、筋力や歩行能力も含めて評価することが重要です。

安静時や夜間にも痛みが出ることがある

症状が進んだ変形性股関節症では、歩行時だけでなく、座っているときや横になっているときにも痛みを感じる場合があります。

夜間に股関節が痛んで眠りにくくなる方もいます。ただし、夜間の痛みがあるからといって、必ず変形性股関節症が進行しているとは限りません。

感染症や骨折、大腿骨頭壊死症など、別の病気によって強い痛みが現れることもあります。

急に強い股関節痛が出た場合は注意が必要です突然強い痛みが現れた、足に体重をかけられない、転倒後から歩けないといった場合には、骨折などの可能性があります。また、発熱を伴う強い痛みは感染症などの可能性もあるため、速やかに医療機関を受診してください。

変形性股関節症の進行段階

変形性股関節症は、レントゲン画像で確認できる関節の変化などをもとに、一般的に前股関節症・初期・進行期・末期といった段階に分類されることがあります。

進行段階 股関節の状態の目安
前股関節症 寛骨臼形成不全など、股関節の形に特徴があっても、明らかな変形性変化が認められない状態
初期 関節の隙間が部分的に狭くなるなど、比較的軽度の変化がみられる状態
進行期 関節の隙間がさらに狭くなり、骨棘や骨の硬化などの変化が目立つ状態
末期 関節の隙間が著しく狭くなる、または消失し、骨の変形が進んでいる状態

この分類は画像検査による状態の目安であり、痛みの強さや生活への影響をそのまま示すものではありません。また、股関節の形や病状によって分類の判断が異なる場合があります。

治療方針を決める際には、画像の変化だけでなく、症状や歩行能力、日常生活で困っていることなどを総合的に確認します。

変形性股関節症の検査

変形性股関節症の検査・診断方法

変形性股関節症が疑われる場合には、症状の確認や身体診察、必要に応じた画像検査などを行い、股関節の状態を評価します。

股関節の痛みは、変形性股関節症以外の病気でも起こるため、痛む場所や動作だけで診断することはできません。診察では、股関節だけでなく、腰や膝などの状態も確認する場合があります。

問診で痛みの場所や症状の経過を確認する

診察では、まず痛みが出る場所や時期、どのような動作で症状が強くなるかなどを確認します。

例えば、歩き始めに痛むのか、長時間歩いた後に痛むのか、安静にしていても痛みがあるのかといった情報は、原因を考えるうえで参考になります。

また、症状がいつから始まったか、徐々に悪化しているか、過去に股関節の病気やけがをしたことがあるかなども重要です。

股関節の痛みが日常生活にどの程度影響しているかを確認することも、治療方針を考えるうえで役立ちます。

股関節の動きや歩き方を確認する

身体診察では、股関節を曲げる、開く、ひねるといった動作を行い、関節の動く範囲や痛みの出方を確認します。

変形性股関節症では、股関節の内旋と呼ばれる内側にひねる動きなどが制限されることがあります。ただし、こうした所見だけで診断が確定するわけではありません。

必要に応じて、股関節周囲の筋力や歩行時の身体の動き、左右の足の状態なども評価します。

腰椎の病気や神経の問題が疑われる場合には、腰の動きや脚の感覚、筋力などを確認することもあります。

レントゲン検査で関節の変化を確認する

変形性股関節症の診断では、レントゲン検査が重要な役割を担います。

レントゲン画像では、股関節の骨の形や関節の隙間、骨棘の有無、寛骨臼形成不全などを確認することができます。

関節軟骨そのものは通常のレントゲン画像には直接写りませんが、骨同士の間隔が狭くなっているかなどを調べることで、軟骨の状態を間接的に評価します。

また、股関節の受け皿の深さや大腿骨頭の位置などを確認し、変形性股関節症の背景にある骨の形の特徴を調べることもあります。

MRIやCTなどの追加検査が必要になる場合

股関節の痛みがあっても、レントゲン検査だけでは原因がはっきりしない場合があります。そのような場合には、症状や診察結果に応じてMRI検査などが検討されることがあります。

MRI検査は、骨や関節周囲の組織の状態を詳しく調べる際に役立ちます。例えば、大腿骨頭壊死症や骨折、関節周囲の軟部組織の病気などが疑われる場合に使用されることがあります。

CT検査は、骨の形や立体的な構造を詳しく確認したい場合などに検討されます。

ただし、変形性股関節症が疑われる方すべてにMRIやCTが必要なわけではありません。追加検査の必要性は、症状やレントゲン所見などを踏まえて判断されます。

股関節の痛みで整形外科を受診する目安

股関節の痛みが続く場合や、歩行・日常生活に支障が出ている場合には、整形外科で相談することをおすすめします。

特に、次のような変化がある場合には、原因を確認することが大切です。

  • ・足の付け根の痛みが繰り返し現れる
  • ・歩く距離が短くなってきた
  • ・靴下を履く、足の爪を切るなどの動作が難しくなった
  • ・股関節の動きが以前より悪くなった
  • ・痛みをかばって歩くようになった
  • ・安静にしていても股関節が痛む

これらの症状があっても、必ず変形性股関節症とは限りません。診察や必要な検査によって原因を確認し、適切な対策を考えることが重要です。

なお、急激な強い痛みや歩行不能、発熱を伴う強い関節痛などがある場合には、通常の受診を待たず、速やかに医療機関へ相談してください。

変形性股関節症の治療方法と日常生活での対策

変形性股関節症の治療では、痛みを軽減し、股関節の機能や日常生活の動作をできるだけ維持することを目指します。治療方法は、関節の変形の程度だけでなく、痛みの強さや歩行能力、年齢、生活スタイルなどを踏まえて検討します。

初期から進行期にかけては、運動療法や生活習慣の見直し、薬物療法などの保存療法が行われることがあります。一方、保存療法を続けても症状が十分に改善せず、日常生活への影響が大きい場合には、手術が検討されることもあります。

運動療法・リハビリテーション

変形性股関節症の治療では、股関節周囲の筋力を維持し、関節の動きを保つための運動療法が重要です。

特に、お尻の筋肉である中殿筋や大殿筋などは、歩行時に骨盤や股関節を安定させる役割があります。これらの筋肉を適切に鍛えることで、歩行能力や身体の動きを維持することにつながります。

また、股関節の動く範囲が狭くなっている場合には、痛みのない範囲で関節を動かす練習などが検討されます。

ただし、運動は強く行えばよいというものではありません。股関節の状態によって適切な運動は異なり、無理なストレッチや負荷の大きい運動によって痛みが悪化する場合もあります。

運動療法を始める際には、医師や理学療法士などに相談し、身体の状態に合った方法を選ぶことが大切です。

痛みを和らげる薬物療法

股関節の痛みが日常生活に影響している場合には、薬物療法が検討されることがあります。

痛みの軽減を目的として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの鎮痛薬が使用される場合があります。薬の種類や使用方法は、症状の程度や持病、服用中の薬などを考慮して決められます。

例えば、NSAIDsには胃腸障害や腎機能への影響などの注意点があるため、自己判断で長期間使用することは避けましょう。

なお、痛み止めは症状を和らげるための治療であり、すり減った関節軟骨を元の状態に戻すものではありません。薬物療法だけに頼るのではなく、運動療法や生活習慣の見直しなどと組み合わせて考えることが重要です。

股関節への負担を減らす生活習慣

変形性股関節症では、日常生活で股関節にかかる負荷を調整することも大切です。

例えば、長時間の歩行や立ち仕事で痛みが強くなる場合には、適度に休憩を取り入れることで症状を軽減できる場合があります。

また、体重が多い方では、無理のない体重管理によって股関節への負荷を減らすことが期待できます。ただし、極端な食事制限によって筋肉量が減少すると、かえって身体機能の低下につながる場合があるため注意が必要です。

椅子やベッドなどを活用し、股関節を深く曲げる動作を減らす工夫が役立つ場合もあります。

股関節への負担を減らすための工夫

  • ◼️長時間歩く場合は途中で休憩を取る
  • ◼️痛みが強くなる動作を無理に繰り返さない
  • ◼️椅子やベッドを活用して立ち座りの負担を減らす
  • ◼️身体の状態に合わせて適度な運動を続ける
  • ◼️必要に応じて杖などの歩行補助具を活用する
  • ◼️体重が多い場合は無理のない体重管理を検討する

股関節への負担を減らすことは大切ですが、痛みを恐れて身体をまったく動かさなくなると、筋力や歩行能力が低下する可能性があります。活動と休息のバランスを意識しましょう。

杖や歩行補助具を活用する方法

歩行時の痛みが強い場合には、杖などの歩行補助具が役立つことがあります。

一般的に、片側の股関節に痛みがある場合には、痛む側と反対の手で杖を持つことで、股関節への負担を軽減できる場合があります。

ただし、杖の高さや使い方が合っていないと、歩きにくさや転倒につながることもあります。使用する際には、医師や理学療法士などに適切な方法を確認するとよいでしょう。

手術が検討されるのはどのような場合?

保存療法を行っても股関節の痛みが十分に改善せず、歩行や日常生活に大きな支障がある場合には、手術が選択肢となることがあります。

代表的な手術の一つが人工股関節全置換術です。傷んだ股関節の関節面を人工関節に置き換えることで、痛みの軽減や関節機能の改善を目指します。

また、比較的若い方や股関節の状態によっては、自分の関節を残す骨切り術などが検討される場合もあります。

ただし、すべての方に同じ手術が適しているわけではありません。手術には感染症や血栓症、脱臼などの合併症のリスクもあるため、期待できる効果と注意点を理解したうえで判断することが重要です。

手術が必要かどうかは、レントゲン画像の変形の程度だけで決まるものではありません。痛みや生活への影響、保存療法の効果、本人の希望などを踏まえて、医師と相談しながら治療方針を決めます。

変形性股関節症と運動習慣

まとめ|股関節の痛みが続く場合は整形外科へ

変形性股関節症は、股関節の軟骨や骨に変化が生じ、痛みや関節の動かしにくさが現れる病気です。初期には、歩き始めや立ち上がるときの痛み、足の付け根の違和感、靴下を履きにくいといった症状がみられることがあります。

痛みは足の付け根だけでなく、お尻や太もも、膝の周辺に現れる場合もあります。ただし、股関節の痛みには腰の病気や筋肉・腱の問題など、ほかの原因が関係することもあるため、症状だけで変形性股関節症と判断することはできません。

変形性股関節症の治療では、運動療法や薬物療法、生活習慣の見直しなどが検討されます。症状や関節の状態によっては手術が選択肢となることもありますが、すべての方に手術が必要になるわけではありません。

股関節の痛みや動かしにくさが続いている場合には、早めに原因を確認し、自分の状態に合った対策を考えることが大切です。

股関節の痛みや動かしにくさが気になる方へ

股関節の痛みが続く場合はご相談ください

豊田市の小早川整形外科では、股関節の痛みや動かしにくさなど、運動器の症状についてご相談いただけます。歩き始めに足の付け根が痛む方や、股関節の動きに違和感がある方は、お気軽にご相談ください。

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